オリガ・モリソヴナの反語法 米原万里 集英社 ★★★★ '04 5 5

激動のロシア、東欧を生きた伝説のダンサーの数奇な生涯の秘密を
少女時代にプラハのソビエト学校で学んだ日本人・志摩が解き明かしていく。

ほとんど馴染みのないロシア文化について初めて知ることが多く興味深かった。
ロシア人は苗字ではなく、名前の後に父親の名前由来の呼称をつけて呼び合うなんて
この本を読まなければ一生知らなかったはず。
たとえばニーナ・コズイレフという姓名でも、父親がイワンという名の場合「ニーナ・イワノヴナ」
父親がセルゲイなら「ニーナ・セルゲーエヴナ」となるらしい。

ソビエト学校のダンス教師、オリガ・モリソヴナをはじめ登場人物が魅力的。
特にオリガはラーゲリ(収容所)仕込みの反語法を駆使した汚い言葉と、
それに相反する優雅な身のこなし、
独特のおしゃれなファッションなどビジュアルが目に浮かぶような生き生きした描写がいい。
「薄紫のニットスーツに銀色のアクセサリーとベルト、黒のつば広帽子、ベール、レースの手袋、
網タイツ、付けボクロ」「クリーム色とコバルトブルーの大胆なチェックのスーツ、
ハイヒールもベレー帽もコバルトブルー、帽子から金髪の巻き毛をのぞかせ、口紅は真紅。
金の鎖を首に何重にも巻きつけている」などなど・・・
収容所体験女性の手記を元にしたという過酷な収容生活の描写も読み応えあり。
日本のバレエ界の現実に触れている箇所があるのだが、凡庸な才能のくせに
裕福な実家が舞踊団に多額の寄付をしたためプリマになった「藻刈富代」って・・・
わかりやすすぎ!モデルはあの有名バレリーナ?
[PR]
by gloriaxx | 2004-09-20 10:45 | ★4


<< BODY&MONEY  鎌田敏... 食べるアメリカ人 They A... >>