BODY&MONEY  鎌田敏夫 新潮社 ★★★ '04 5 15

子供の頃からきれいだと言われ続け、自分でも惚れ惚れする顔と肉体を持つ秋乃。
当然のようにモデルになった彼女だったが、完璧すぎる容姿は
モデルになる通行証にはなっても一流モデルとして成功する切り札にはならなかった。
そんな彼女に元カメラマンの粕谷が怪しげな儲け話を持ち込む。
アメリカ・シリコンバレーで巨万の富を得て、現在は沖縄の離島で隠遁生活を送る男、
倉橋を色仕掛けで島から誘い出せというのだ。
秋乃はダイビング中の漂着者を装い、ゴムボートで倉橋の住む無人島に流れ着くが・・・

鎌田敏夫は女をよく知っていると思う。
男性作家が書く女って往々にして、男から見て都合のいい、妙に現実離れした女だったり
同性の友人がいなさそうな女だったりするのだが(その代表例が渡辺淳一)
鎌田敏夫の作品の主人公は女が自然に共感でき、好きになれる等身大の女だ。
容姿や職業など外的なことはさておき、女の普遍的な本質を描くのが巧いのは
さすがヒットドラマを数多く生んできた脚本家だと思う。
たとえば漂着を装って無人島に行く秋乃がシャンプーや最低限の化粧品はしっかりと用意し、
怪しまれない程度に下着や着替えも持っているとか、
男からもらったカルティエのイヤリングを床に叩きつける際、
無意識にフローリングではなくカーペットの床に投げつけるなどのリアルさに感心する。

「29歳のクリスマス」の執筆にあたって数多くの一般女性にインタビュー取材し、
現代女性のライフスタイルや人生観、恋愛観を知るところからスタートしたと
何かで読んだことがあるが、徹底した取材力だけでなく、
ご本人も恋愛経験豊富で女性心理を読むことに長けているのだろう。
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by gloriaxx | 2004-09-20 10:52 | ★3


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