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マップ・オブ・ザ・ワールド/A MAP OF THE WORLD. ジェーン・ハミルトン 講談社文庫 ★★★ '04 5 16

共に二人の娘を持つ親友のアリスとテレサ、二人は交代で子供たちを預かっていた。
ある日、アリスが目を離したすきにテレサの娘リジーが池で溺死してしまう。
アリスは小学校の保健室に勤める養護教員だったが、その事故直後、
彼女を性的虐待の容疑で告発する生徒が現れ、逮捕されてしまう。

シガニー・ウィーバー、ジュリアン・ムーア主演で映画化されたという全米ベストセラー小説。
国や人種を超えて誰にでも起こる可能性のある悲劇と、
それに立ち向かっていく夫婦や家族の絆をていねいに描いている。
ただ、日本だったらこういうわけにはいかないのでは?と思う箇所も多かった。
アメリカ人は謝らないとよく言われるが、アリスも心では罪悪感で押しつぶされそうなのに
病院で最初にテレサに会った瞬間、「ごめんなさい」と言わず
「今日はいろいろ大変だったの」と言い訳がましいことを口にすることに驚く。
親友の娘の死に直接的な責任がないとはいえ、まず謝るのが普通の人間の心情だろうと思うのはわたしが日本人だからだろうか。

また、アリスの上の娘・エマが強情でわがままで手のつけられない子供なのだが、
アリスも夫のハワードも娘を叱らず、驚くべき忍耐強い態度で子供に接していて違和感がある。
エマが勝手にヒステリーを起こして泣き喚き、食べ物の入った皿を床に落としたり、
ミルクをこぼしたりし、親に向かって生意気な口調で文句を言っても叱らず、
ご機嫌を取るように甘やかすので読んでいてイライラする。
わたしだったら絶対に叩いているだろう。
体罰に反対なら叩かなくてもいいが、子供を叱って悪いことをしたと認めさせるべきでは?
子供への体罰の是非についてここでは論じきれないが、わたしは親から叩かれて育ったので
姉妹でケンカした時も叩きあったし、もし自分が子供を持ったら叩いてしまうと確信している。
これが「虐待」の範疇に入るのか「しつけ」の域なのかはなんともいえない。
「虐待」でなかったと思いたいが、親が感情に任せて叩いていたことも多かったのはわかる。
とにかく自分の親を見ていて子供を持つのは全然楽しいことではないと感じたのは確かだ。
この作品を読んでいても子供を育てることの困難でしんどい側面ばかりが感じられるのはそのせいか。
わたしも叩かれずに育っていたら子供を持つ気になっていただろうか?
by gloriaxx | 2004-09-20 12:29 | ★3


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