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L文学完全読本/斎藤美奈子 マガジンハウス ★★★★ '04 7 17

L文学とは著者が名づけた小説のジャンルで、女性作家による女性を主人公にした作品。
( 江國香織、山本文緒、山田詠美、林真理子、恩田陸、桐野夏生、川上弘美、金井恵美子、
とそうそうたる顔ぶれでジャンルも多岐にわたる)
その内容、形式の特徴からL文学が生まれた社会的背景などを多角的に探る。
L文学の祖先は「赤毛のアン」「若草物語」「秘密の花園」などの少女小説らしい。
それらを読んで育った少女が、新井素子、氷室冴子などを代表するコバルト文庫を経て
L文学にたどり着くのが代表的なコースだとか。

母が文学少女だったのでその影響でわたしも読書家になったのだが
わたしはいわゆる少女小説には食指が動かなかったタイプ。
そして、コバルト文庫は一冊も呼んだことがない。
4歳くらいまで自分のことを男だと思い込み、自分を少年ヒーロー物の主人公に投影していたので
少女小説ってふわふわ甘ちゃんなイメージで受け付けなかったのだ。
小学生の頃は家にあった旧仮名遣いの岩波文庫などの海外文学を読みあさっていた。
ゾラ「居酒屋」、ルナール「にんじん」、ドイツ戯曲、ヴェデキント「春のめざめ」など・・・
で、中高生頃からはエド・マクベイン「87分署シリーズ」や
スウェーデンのシューバル&バールの警察小説、
サキ、ロアルド・ダールなどブラックな味わいのものが好きだった。
一方でサガンの描く大人の恋愛世界にもどっぷりハマっていた。
L文学にカテゴライズされる作品を読み始めたのは、大人になって
自分も小説を書くようになってからなので歴は浅いが、
斎藤美奈子はじめ様々な筆者の分析、評論はとてもわかりやすく、おもしろい。
ジャンル別にL文学作品を紹介した項は読書ガイドとして大いに参考になる。
by gloriaxx | 2004-09-20 16:14 | ★4


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