鬼子(おにご) 新堂冬樹 幻冬舎 ★★★★★

ある日突然、素直で家族思いの息子が悪魔に豹変した。幸せな家庭はあっけなく崩壊。 主人公は息子からの暴力と屈辱的な支配に耐え切れず、息子を殺してすべてを終わらせようとするが・・・

ページをめくる手が止まらないほどおもしろく、一気に読んでしまった。
主人公の袴田は小説家。二十年前に新人賞を取ったデビュー作は話題になったが、
その後の21作はすべて初版3000部止まり。
当然印税だけでは生活できずマンションの管理人をしている。
彼の作品というのがデビュー作以外はすべてフランスを舞台にした男女の純愛物語で、
時代遅れの少女漫画のように陳腐な設定と歯の浮くようなセリフのオンパレード。
「セーヌ川の畔で・・・」「ロンシャンの夕陽」「檸檬色のくちづけ」など
タイトルからして臭すぎの作品の一部が作中に挿入されるが、パロディ小説みたいで失笑モノ。
主人公のフランスかぶれぶりや存在もしない自分のファンの目を意識した立ち居振る舞い、
ナルシスト極まりない独白も笑える。
自宅にワル仲間とたむろし、父親を暴力で脅してパシリとしてエロビデオを借りたり
酒を買ってこさせたり、あげくの果てには目の前で妹を仲間にレイプさせ、
それを父親に見せつけるという息子の極悪非道ぶりは徹底している。
秘密を握っていることが見え見えだが真意がわからない妻の態度、煮え切らない精神科医、
さらに後半で登場するやり手編集者のキャラクター設定など
すべての要素が「とことんまで」という感じで演出されているのがおもしろさの鍵だろう。
ただしラストだけはどうも納得いかない・・・(内容も文章表現としても)
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by gloriaxx | 2004-09-28 21:41 | 評価 ★5


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