第47回江戸川乱歩賞受賞作。
ケンカで人を殺して服役、仮釈放になった青年と、
刑務所で彼を見守ってきた刑務官にある仕事が舞い込む。
それは死刑が確定した記憶喪失の囚人の冤罪を晴らして救い出すことだった。
刑務所内部の描写や死刑囚の心理、
殺人犯の家族が社会的に抹殺されるだけでなく
遺族への賠償などで経済的にも苦境に追い込まれるなど
なかなか知る機会がないことまで詳しく書かれていて著者の取材力に感心。
また、それを違和感なくストーリーに織り込んでいるのも見事だ。
謎、展開、構成はもちろん、キャラクターにも魅力があって感情移入して一気に読ませる。
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