不倫の歴史 サビーヌ・メルシオール=ボネ / オード・ド・トックヴィル 原書房 ★★★★

Histoire de L'Adultere 副題は「愛の幻想と現実のゆくえ」
古代ギリシャから現代に至るまでの、主にフランスの各時代の不倫観の変遷を辿ったもの。
多くの芸術、文学、映画作品を例にとった解説もわかりやすく興味深い。
そもそも時代ごとに結婚そのものの在り方が「家同士の財産や地位を守るための契約で、
個人の意思はまったく問題外」であるなど現代を生きる私たちの理解を超えた場合が多いので,
一口に「不倫」と言っても事情や実態は様々。
19世紀あたりに入ってようやく恋愛結婚というものが現れ、記述にも共感を覚えることができる。
2001年を迎えた現代の章におけるカップル観はかなりリアリティがある。

おもしろいと感じたのは「離婚・再婚率」の高いアメリカ人は男女とも「浮気・不倫」を否定しているということ。簡単にやり直しができるから一緒にいる間は相手に忠実でなければならないという考え方が強いらしい。
これが即、ピューリタン的倫理観につながるかどうかはなんともいえないと思うが、確かにアメリカ映画では夫婦間やステディなカップル間での「裏切り」というものに対してかなり厳しい態度を取っているように思う。
作家フィリップ・ソレルスの「浮気をしないことがいいことなのか、相手に言わないことがいいことなのか、結婚している、いないに関わらず多くのカップルが悩み続けている問題だ」など日本の現実にもシンクロするだろう。
社会学者ジャン=クロード・コーフマン言うところの「合法的な浮気」つまり「タブーぎりぎりのところで交わされる意味深な会話や恋愛ごっこの代償行為でカップルが長続きしたりしているのである」
なんて、ちょっとドキッとしたり・・・
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by gloriaxx | 2004-11-03 13:15 | ★4


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