邪魔  奥田英朗 講談社 ★★★★★

東京都下の小さな住宅街。
原付バイクで街を走り回り、オヤジ狩りで虚勢を張ることで仲間にしがみつく高校生、
念願のマイホームを手に入れ、親子4人のささやかな幸福に満足しながらも
サラリーマンの夫の金銭感覚に一抹の不安を拭えない主婦、
事故で妻を亡くして以来、感情も生きている実感も希薄で、
亡くなった妻の母とのつながりだけが生きがいの刑事、
小さな放火事件が発端となってそれぞれの人生が予測不可能な方向に動き出す。

圧倒的なおもしろさ!
かなりの長編なのに読み始めると止まらない。
警察内部からヤクザ組織、スーパーマーケットのパート事情まで
とにかくディテールが詳細でリアロティにほころびがないので安心して読める。
そのうえ心理描写がバツグンで、特に平凡な主婦・及川恭子のそれは見事。
夫が「競馬で勝った」と言う大金についてつきまとう疑惑、
それを打ち消して目の前の幸福を信じようとする涙ぐましい努力、
崩壊していく家庭を必死で守ろうとしながら、
追い詰められていくぎりぎりの精神状態はすごい読み応え。
('04 10 30)
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by gloriaxx | 2004-11-04 19:48 | 評価 ★5


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