最悪 奥田英朗 講談社文庫 ★★★★★

パチンコとカツアゲで生活費を稼ぐ天涯孤独の和也、
不況に苦しむ小さな鉄工所社長の川谷、
都市銀行のOLで支店長のセクハラや妹の家出に悩むみどり、
それぞれに「最悪」としか言いようのない極限まで追い詰められたまったく無縁の3人。
その人生が交差した時、運命はとんでもない方向に転がり始めた。

まさにジェットコースターノベル。
銀行、町工場、ヤクザ、ケチな犯罪者、登場人物たちが属する世界はまったく違うのに、
それぞれの描写のリアリティには舌をまく。
しかもその背景をふまえた人物の心理描写も説得力あり。
ディテールを丹念に積み重ねて各人が「最悪」な窮地に追い込まれていく展開は
読んでいるだけでやるせないためいきが出るほど。
著者の前身はプランナー、コピーライター、構成作家とか。納得の取材力だ。

一転、3人が出会ってからは出来のいいクライム・アクションムービーを観ているように
気持ちのいい加速度をつけてクライマックスまで突き進んでいく。
楽しい話ではないけれど、読後感に爽快さと救いがあるのも◎
('04 11 8)
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by gloriaxx | 2004-11-09 17:33 | 評価 ★5


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