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最後の場所で A gesture life チャンネ・リー/高橋茅香子 新潮社 ★★★★

著者は「停電の夜に」のジュンパ・ラヒリらと共にニューヨーカー誌の「21世紀期待の若手作家20人」に選ばれた'63年生まれのコリアン・アメリカン。
主人公の初老の男性は在日コリアンとして生まれ、日本人の養子になり、後に日系アメリカ人となってニューヨーク郊外の小さな町で「ドク・ハタ」と呼ばれ人々の尊敬を集める。
著者は最初、第二次大戦中に日本兵のための慰安婦だった女性をテーマに書こうとして、
ソウルで元慰安婦の数名に長時間のインタビューをしたが、
真実があまりにも衝撃的なのでとても小説では表現できないと考え、
「ドク・ハタ」が日本兵として従軍中に出会う慰安婦とのエピソードとして織り込んだという。
訳者もあとがきで書いているように30代前半の男性が書いたとは思えないしみじみと深い
味わいのある物語である。N.Yタイムズのレビューにも書かれていたが、
私が好きなカズオ・イシグロに通じるものがある。

主人公は東洋人とわかっているのに、なぜか私のイメージではモーガン・フリーマン
(「セヴン」の時の)で、彼の養女サニーの成長後はダイアン・レイン(「パーフェクトストーム」の時の)慰安婦Kは柴崎コウ、看護士レニーはキューバ・グッティングJr、というキャスティング。
他の登場人物や風景などすべてにおいて視覚的イメージが充実した小説だった。
# by gloriaxx | 2004-10-11 22:44 | ★4

泣く大人 江國香織 世界文化社 ★★★

著者の作品は小説だとそうでもないが、
エッセイだと、著者独特の物事に対するこだわりとか、
好き嫌いなどがクローズアップされてちょっと鼻につくところがある。
# by gloriaxx | 2004-10-11 22:41 | ★3

初夜 林 真理子 文藝春秋 ★★★

四十歳を過ぎて独身で処女の娘が子宮摘出手術を受けることになり、
不憫に思った父親がある妄想を抱く・・・
すべておもしろく読める短編集だが、どれもネガティブな読後感が残る。
でも、ほんとに四十過ぎて処女(もちろん独身、恋愛経験なし)という人って
実在するからなぁ・・・七不思議というか、感慨深いというか・・・・
# by gloriaxx | 2004-10-11 22:39 | ★3

ほぼ地獄。ほぼ天国。 中野 翠 毎日新聞社 ★★★

サンデー毎日に連載されたコラムを集めたもの。
2000年のベスト10映画にこの人ともあろうものが「グリーンマイル」や
「グラディエーター」を入れているのが意外もいいとこ。
でも唯一欠かさず観ているドラマが私も大好きな「SEX AND THE CITY」で、
日本では「フレンズ」が人気みたいだが大人ならこっちを観るべきと書いているのは同感!
# by gloriaxx | 2004-10-11 22:37 | ★3

江國香織とっておき作品集 江國香織 マガジンハウス ★★★★

初収録のデビュー作「409ラドクリフ」をはじめ単行本未収録作品を集めた作品集。
父・江國滋氏による娘の成長日記や、編集者の妹によるエッセーなど
バラエティに富んだ内容でおもしろかった。
しかし、長女の命名に関してはいろいろ熟考して「香織」なのに
次女は祖父の一字をもらって「晴子」ってなんとなくかわいそう・・・
せめて「晴香」とかにしてあげたらよかったのに。
# by gloriaxx | 2004-10-11 22:36 | ★4