娼年 石田衣良 集英社 ★★★★

主人公は偶然の出会いから高級クラブのナンバーワン男娼になっていく20歳の男の子。
映画「A.I」のジゴロロボットじゃないけど、いい意味でこんなにプロに徹底していて、
なおかつ女性への理解力、包容力のある男娼がいたら一度お願いしたいと思うほど。
同じような世界や物語を書いても、村上龍ならギラギラと露悪的な印象を受けて辟易するし、
山口洋子ならもっとシビアで現実的になるが、この著者の視点や表現にはロマンスを感じる。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 14:12 | ★4

体験のあとAfter the hole. ガイ・バート 集英社 ★★★★

「穴」というタイトルで映画化された小説。
著者がパブリック・スクール在学中に発表し、英国の読書界に衝撃を与えたといわれる。
パブリックスクール卒業を控えた5人の男女が学校の一角にある忘れ去られた地下室に
「実験」と称して三日間閉じ込められる。
外界から遮断され、水や食料がなくなり5人は次第にパニックに・・・・というサイコスリラーだが、
4種類の文体使い分け、伏線の張り方、各人物の性格や心理描写の書き分け、
ラストのどんでん返し、尾をひく余韻など高校生が書いたとは思えないグレードの高さだ。
「実験」を仕組んだとされるマーティンの人物像は宮部みゆき「模倣犯」のピースを思い出させる。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 14:11 | ★4

停電の夜に ジュンパ・ラヒリ/ 新潮社 ★★★★★

ロンドン生まれでN.Y在住、デビュー短編集がピュリツァー集を受賞したインド系作家の短編集。
妻子あるインド系男性と恋愛関係になった白人女性の視点から描かれた「Sexy」がよかった。
無意識に男と逢う時を想定して下着を選んだり、
男が属している世界に関係するものに興味を持ったり、
恋愛中は世界がそれを中心に回ってしまう女性の心情がさりげなく、
しかも共感を呼ぶタッチで書かれている。
主人公が一日だけ預かるインド系少年との会話部分がとてもいい。
「セン夫人の家」主人公の白人少年も年齢は子供だけれど精神的には大人だ。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 14:08 | 評価 ★5

ねむい幸福 有吉玉青 幻冬舎 ★★★

二十代後半の夫婦。妻が突然家出し、理由も行き先も夫にはわからない。
やがて妻はある男の家にいることがわかり、毎日とりとめのない内容の電話をしてくる。
夫は妻に家出の理由、なぜ電話をしてくるのか、
これからどうしたいのかも尋ねることができない。
夫の視点から書かれているが、妻のキャラクターに好感が持てないし、
家出先の男との関係などが中途半端なままなのでラストに不満が残る。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 14:06 | ★3

奇譚カーニバル 夢枕 獏(編) 立風書房 ★★★ 

奇妙な話ばかりを集めた一冊。
夏目漱石の「夢十夜」は第三夜だけが強烈に印象に残っていたが、
改めて読むと第一夜が映像的でとてもいい。
鈴木清順監督の映画のような味わいに思える。
他には筒井康隆の「かくれんぼをした夜」横田純彌の「昇り龍、参上」
幸田露伴の「観画談」などがよかった。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 14:04 | ★3

容姿の時代 酒井順子 幻冬舎 ★★★★

著者のクールな観察眼と分析力はもちろん、
自身のキャラクターを「地味で目立たないけど、おしゃれ欲は一応持ってる女」と
セクシャリティを感じさせず読者の反感を買わない設定にしている賢明さにいつも感心する。
「現在の中高年をおしゃれに駆り立てるものは成熟した女性像への憧れではなく、
尻に火がついたような若さを失うことへの恐怖心なのだと思う」という一文は
他人事でないだけにドキッとさせられた。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 14:03 | ★4

ホテルカクタス 江國香織/佐々木敦子(挿画) ビリケン書房 ★★★★★

大人のための童話。
感動や教訓めいたものを押し付けがましくなくさらりと書いていてよかった。
佐々木敦子の絵がパーフェクトに私の好みのテイスト&タッチである!
金持ちだったら原画を買いたいほどだ。★5つは絵の力。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 13:54 | 評価 ★5

愛はプライドより強く 辻 仁成 幻冬舎 ★★

人生や愛に対する悲観的、倦怠的な視点が強くてしんどかった。
ところどころとても共感する表現はあるのだが・・・
いくつか著書を読んだ上で、ひょっとすると著者はセックスに対して
心のどこかで罪悪感や嫌悪感を持っているのかな?とふと感じた。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 13:53 | ★2

ドラマティックなひと波乱 林 真理子 文藝春秋 ★★★

いつも思うことだけど、才能もお金もゴージャスな交友関係もあってうらやましい限り。
この人が母になったのはかなり意外だったが
「自分が母親になってもあちら側に与しなかったことで自分自身を見直した」
と書いているのはさすが。
ちなみに「あちら側」とは「女は子供がいなくては一人前ではない」
「子供がいない女は幸福になれない」という価値観を持った人たちである。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 13:52 | ★3

秘宝耳 ナンシー関 朝日新聞社 ★★★

この人のコラムは雑誌連載時に読むのがネタにシズル感があってベストなのだが、
単行本になってネタそのものが古くなってしまっている場合でも
視点が的を得ているのでリアルタイムとはまた違った説得力がある。
RIKACOが結婚・出産を経てある種「別格」感を漂わせるのに成功したとか
西田ひかるの扱いに「皇室報道」的なものを感じるとか、
日頃自分も思っていたことを的確に表現してくれてすっきり!
あらためて若すぎる突然の死が残念である。
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# by gloriaxx | 2004-11-03 13:50 | ★3