IWGPシリーズ第4弾の短編4話。
ストリートギャング・Gボーイズを卒業してラーメン店を開いた巨漢の双子、
アメ横のチームのヘッドだった息子を殺された初老のジャズタクシー運転手、
違法デリヘルで売春して家族を養うビルマ人少年、
SMクラブ主催の人体損壊ショーDVDの謎を追うネットおたく、
彼らが抱える問題や事件の解決にあたるのは真島誠。
家業の果物屋を継ぎつつ、ストリートファッション誌にコラムを書いている誠は
無報酬のストリート探偵として不本意ながらまたもや大活躍する羽目になる。
ストーリー展開、キャラクター設定、文体、セリフなど回を重ねるごとに完成度が高く、
スタイルが確立されていくのがわかる。
さすが元コピーライターだけあって言葉の選び方のセンスはバツグン。
リアルタイムの日本を的確に捉え、使い慣れたツールや馴染んだ服のように
自在に操って小説世界を展開する技量は右に出る者がいないと思う。
ヤバイ世界を描いても、根底に人や社会に対する愛情があるのが著者の最大の魅力だ。
真島誠は架空の人物の中でわたしの理想の男ベスト3に入るだろう。
チーマーじゃないのにケンカ慣れしていてストリートギャングたちから一目置かれ、
それでいてまっとうな倫理観と健全そのものの精神を持っている。
ベートーヴェンを聴きトルストイを読むブルーカラー青年なんてかっこよすぎ!
ドラマ化のキャスティング・長瀬くんをイメージしながら読めるのも魅力の大きな要因。