有名進学校や私立大学付属校、お嬢様学校などがひしめく新宿区にあって
偏差値が脳死と判断される血圧値しかないことから「ゾンビ」と呼ばれる
落ちこぼれ高校に通う主人公たちの冒険譚。
「FLY,DADDY,FLY」(★5つ!)の序章のような短編集。
読む順序が前後したため、著者の作家としての著しい成長が実感できた。
在日韓国人・朴舜臣や日比ハーフのアギーなど魅力的なキャラクターが光る。
社会から見れば完全に落ちこぼれで、法スレスレのヤバイこともやってのける
高校生たちの日常を描いているが、
登場人物はみんな根っこの部分でとても健全でまっとうな人間なのが魅力でさわやかな読後感。
主人公は当然恋に落ちるのだが、相手のお嬢様学校の女子高生が
「コケティッシュで気まぐれなネコのような少女」なんて陳腐な設定ではなく
「黒目がちのつぶらな瞳は浜辺でボール遊びをしてもらっている
ゴールデン・レトリーバーの瞳の輝きを宿していた」というのが新鮮で好感持てる。