第130回芥川賞受賞作。
群れたり、つきあいで笑ったりするのがイヤでどのグループにも属さず
高校のクラスで孤立しているハツ。ある日、同じように孤立している男子生徒
にな川の存在に気づいたハツは彼の一挙手一投足が気になりだし・・・
孤高を装うハツの自意識過剰ぶりに共感を覚える。
わたしも昔から群れるのがキライで一人でいるほうが好きだったから。
ただし、幼稚園の頃は本能のまま「一人でいたいからいる→ごく自然に楽」
とシンプルだったが、小学生になるとそうはいかなくなった。
「一人でいる→ともだちがいない、もしくは協調性がない」
と周囲から見られてしまうことに気づき、
それは色々とややこしいので、気が進まなくても「社交」するようになった。
そのうち社交の才能が身に付き、気がつくとやすやすとできる大人になっていた。
その点、ハツは強靭だ。(ちょっと融通がきかなすぎる感もあるが)
にな川について、ある書評で「アイドルおたくの男子生徒」とあったので
小倉優子的なアイドルおたくかと思っていたら、27歳の女性誌モデルとは意外!
今時の高校生、ハツとにな川に性的な空気をほとんど介在させず、
しかしハツにはごく自然にそれを意識させている巧みさに感心した。