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私は好奇心の強いゴッドファーザー/原田宗則典 講談社★★★★ 

生まれて初めて観た映画(赤ん坊だったので本人に記憶はないが)が
コクトーの「美女と野獣」という著者の映画にまつわる自伝的エッセー集。

波乱万丈な人生を送った著者の父親が魅力的。
無類の映画好きで、中学生の頃から学校をサボっては一人で映画館に通い詰めたという
父親は息子である著者にも自分のような映画好きになってほしくて
「映画と本に使う金はいくらでも出してやる」と言ったとか。うらやましい・・・・
中学生の息子を映画館に連れて行って「帰りは一人で大丈夫だよな」と夜の街に消えたり、
唐突に昔観た映画の話を長々と手紙に書いてくるなどすごくチャーミングな男性だ。

父親の借金が原因で大学時代に苦労した著者は
束の間でもいいから悩まずに済む時間が欲しくて、読書に没頭したり
憑かれたように小説を書いたり、映画を観にいったという。
「特に映画は受動的に享受できるので(中略)ほとんど唯一といっていい娯楽たりえた」
と語る部分は説得力がある。
人生に疲れたとき、映画ほど現実逃避させてくれるものはない。
しかも受身でいいのがありがたい。(作品選びがポイントだけど)
('04 9 19)
by gloriaxx | 2004-09-21 21:51 | ★4


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