小さな貝殻/母・森瑶子と私 マリア・ブラッキン 新潮社★★★★

作家・森瑶子の死後、次女マリアが作家として、母として、
妻としての森瑶子の実像を赤裸々に語った本。
もっと中途半端なキレイごとの回想本かと思いきや「ここまでリアルに真実を暴いていいの?」
と心配になるほどの内容で、森瑶子ファンだったわたしには興味津々で読み応え十分。
しかも文章、構成、取材力共にかなりの力量(ゴーストライターだろうけど)
篠田節子「第4の神話」のモデルが森瑶子だということがますます明白になる内容だ。

森瑶子自身は自らの私生活をものすごく上手に美化・演出して書き続けた人である。
長く読んでいるうちに、あまりに美しく見せたがる演出が鼻につき、
その裏側にあるドロドロしたものが透けて見えたり、
「実際はこんなかっこよくないでしょ」と鼻白むことも多かったが、
本書はそれらの実像をことごとく暴いてくれるので長年の胸のつかえがとれてすっきりする。
しかし、それで森瑶子像が地に堕ちるどころか、かえって才能や強運さ、
魅力を再確認させてくれるところがすごい。
人生の苦労や悩み、修羅場などの舞台裏はチラっとでも見せてしまうと後戻りできず、
糸がほどけるようにすべて見せてしまうハメになるものだと思う。
だから森瑶子が徹底してキレイごとで通したのは正解だったのだろう。

たまに何を勘違いしているのか、森瑶子みたいに自分の世界を徹底的に
かっこよく演出して書くひとがいるけど、
現実はそうじゃないのが見えるだけに読んでる方が恥ずかしい。
本人はマジなのか、受け狙いか?時代的にもハズしてるしやめたほうがいいのに・・・
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by gloriaxx | 2004-09-28 19:08 | ★4


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