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眠れるラプンツェル 山本文緒 ベネッセ ★★★★★

主人公は28歳の専業主婦。CMディレクターの夫は超多忙でほとんど不在。子供なし。
働くこと、忙しいこと、毎日同じ時間に起きることが苦手な主人公は
「結婚したら楽だった。毎日毎日そりゃあ平和で呑気である」と
退屈すぎるほど暇な毎日を歓迎し、ぶらぶらと怠惰に暮らしている。
生活費は毎月きちんと与えられ、手のかからない夫は「好きなことをしてればいいよ」と寛容。
好きな時に寝て、起きて、だらだらと昼寝する彼女にとって
週に一度生協の共同購入が届く日だけが「予定があり、人と接する疲れる日」である。
ところが、密かに好意を寄せていた隣の家の男の子(中学生)がゲームセンターで補導されかかっているのを偶然助けた日から彼女の人生は想像もしなかった大きな展開を見せ始める。

昔からわたしがなりたいのはこんな身分、こんな生活が理想だ。
わたしが潜在的に抱き続けている羨望が具体的かつ現実的に描かれていて複雑な気分。
(もっとリッチなマダムライフはもちろん羨ましいけど世界が違うので)
しかし、読み進むうちに主人公の抱える鬱屈と、気楽で自由に見えて
実は恐ろしく不自由ということが痛いほど感じられてますます複雑な気分になった。
あまり親しくない知人によく似た境遇の人がいるが
(実はわたしはあまり好きじゃないのでその人の日常を耳に挟むたびに
「いいご身分ですな」と内心反感を抱いているのだ)
そのひとがかなり情緒不安定で、ヒステリックで、
しばしば理解しがたい行動をするのが納得できた。
やっぱり人間、働いたり子供を産み育てたり、生産的な生活をしなきゃダメになるのだろうか・・・・・
でも本音はやっぱりうらやましいけど・・・
by gloriaxx | 2004-09-28 19:48 | 評価 ★5


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