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リビング/ 重松 清 中央公論社 ★★★

連作短編「となりの花園」の主人公は雑誌編集者&CGデザイナーというカップル。
センスに絶大な自信があり、子供は持たないと決めている彼らは理想通りのおしゃれな
ライフスタイルをまっとうするため、郊外にシンプルで無機質な注文建築の一戸建てを建てた。
ところがある日、隣に庭中色とりどりの花で埋め尽くした一家が引っ越してくる。
「ウディ・アレンの隣に赤毛のアンが越してきたようなものね」と
自分たちの暮らしが脅かされるのではという妻の懸念は的中し・・・

「一泊ふつつか」の主人公は珍しく女性。2人の息子を持つ専業主婦ユウコのもとに
故郷で開かれる高校の同窓会の案内が届く。夫は「行くなら子供を見ててやってもいいぞ」
彼女が風邪で寝込むと、夫は「寝てていいぞ」と言うが「食事は俺が作る」とは絶対に言わず、
「子育てが一段落したら外で働いてもいいぞ」とお許しを与えてくれる。
そんな夫に対するささやかな抵抗からユウコは強引に帰郷。
旧姓でホテルに泊まり、同窓会に胸をときめかせる。
家が気になって電話すると、夫と子供は意外にも楽しそうにやっている。
急にテンションが下がるユウコ。そこまではいいとして、納得いかないのが結末だ。
これってまさしく男性作家ならではの予定調和では?
しかも主人公が自分の行為に満足しているところが「男の身勝手なご都合主義」でムカつく!
やはりこの著者は男性読者のための作家らしい。
by gloriaxx | 2004-09-28 21:36 | ★3


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