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夜光虫 馳 星周 角川文庫 ★★★

 かつてプロ野球でノーヒットノーランを達成したヒーロー、加倉昭彦は肩の故障で引退。
事業の失敗で借金を作り、再起を賭けて台湾プロ野球へ。
そこはマフィアによる八百長が横行する世界だった。
八百長に手を染めた昭彦は、ひとつの過ちを隠蔽するため
さらに大きな悪に手を出さざるを得なくなる。

 野球にはまったく興味がないのであまり気が進まなかったところ、
男ともだちが「馳 星周作品ではこれがベスト」とリコメンドするので読んでみた。
「雪月夜」と違って恋愛が物語の主軸になっているのはいいけど、甘っちょろい!
昭彦が狂うほど恋焦がれ、友人を裏切り、殺してまでモノにする台湾人の人妻が
ただのキレイキレイな優等生って感じで、生身の女っぽくなくて精彩に欠けるのだ。
だから昭彦が悪に身をやつしてまで惚れるという設定に説得力がない。
馳 星周作品の女はタフでしたたかな悪女でありながら脆い一面もある、
というキャラじゃないとおもしろくない。
その点、マフィアのボスの妹は嬉しくなるほど悪くて華があっていい。
物語としては台湾黒道版シェークスピアって感じでおもしろいが、ラストもセンチメンタルすぎ。
by gloriaxx | 2004-10-11 22:15 | ★3


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