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ここではないどこかへ Anywhere but here モナ・シンプソン/早川書房 ★★★★

スーザン・サランドン主演で映画化された作品が予想外の佳作だった。
シングルマザーのアデルは金持ちの男を見つけて娘アンに父親を与え、
アンを女優にするのが自分の使命と信じ、故郷を捨て母娘でL..Aに移住する。
食事代に困っても一流ホテルに泊まり、おしゃれして高級車でハリウッドの大邸宅街をドライブしたり、時には詐欺師まがいの猿芝居や法律違反をして切り抜ける生活。
家賃や電気代も払えなくても「私たちは特別な人間」と言い切るエキセントリックなアデルの
盲愛と支配に翻弄され、アンは常に自分自身のアイデンティティと未来に不安を感じている。
精神的には娘に100%依存する母親の犠牲者にならず、
母親を客観視して彼女から完全に
自立してまともな大人に成長していくアンの姿に救われる。
かなりの長編なのに一気に読ませる力があったが、構成としてはアンの視点だけで全編通した方がよかったと思う。特にアデルの姉キャロルの青春時代の物語は余計だったのでは。
そのせいで結末に向けて散漫な印象になったような気がする。
by gloriaxx | 2004-10-11 22:49 | ★4


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