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パッチワーク・プラネット アン・タイラー 文春文庫 ★★★★

アン・タイラーはアメリカではヘミングウェイやヴァージニア・ウルフと並んで
書店に額入りの肖像が飾られるほどの大物らしい。
ピュリッツァー賞受賞のベストセラー作家なのは承知でも、
そんな「いかにも大物」感が漂わないのがいい。
とっつきやすく、読みやすく、親しみやすい。それこそがアン・タイラーの魅力なのだろう。
読者として純粋に楽しむと同時に、自分が小説を書く上でとても勉強になる。
(といっても、このスタイルに近づくなんて絶対に不可能だけど)
ごくごく一般人の、特にドラマティックな出来事も起こらない日常のエピソードの積み重ねでストーリーに引き込み、国や人種を超えてこんなに共感させ、心に深く沁みる何かを残すなんてどうやったらできるのだろう?

本書の主人公バーナビーは30歳でバツイチ、財団を運営するような金持ちの息子なのに、
思春期から素行に問題があり、今は実家を出て間借りの地下室に住み、便利屋のような仕事をしている。彼が偶然の出会いから恋愛関係になるソフィア、仕事のパートナー・マーティーン、両親、
元妻、娘、得意先の老人たちなど登場人物全員が映画を観ているようにリアルに頭の中に浮かぶ。(翻訳小説ならたいてい登場人物を思い浮かべやすいのは私の個人的特性かもしれないが)
日本で翻訳されたアン・タイラー作品はすべて読んでいる。
私は「もしかして聖人」「ブリージング・レッスン」「歳月の梯子」がベスト3かな。
by gloriaxx | 2004-10-12 00:02 | ★4


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