烈火の月/野沢 尚 小学館 ★★★★

北野武監督・主演「その男、凶暴につき」の原案を新たに小説化したもので
著者の死の数ヶ月前に出版された作品。
「あとがきというものに抵抗がある」という冒頭で始まる著者のあとがきが感慨深い。

「笑いながら人を殴る」特技を持つ刑事・我妻は圧倒的な存在感。
夜の公園でホームレス襲撃犯の少年たちにわざと襲われ、
一転して反撃、彼らを徹底的に痛めつけて「正当防衛・緊急避難」を主張する。
自首しようとする顔なじみの悪党に
「検挙強化月間で特別手当がもらえるから月が変わってから来い」と追い返す。
組織に属しながら組織を敵に回すアウトローで、どこか憎めないキャラクターは
北野武のために書かれた役ならでは。

拉致されて短期間でヤク中にされてしまう麻薬取締官・烏丸瑛子も魅力のあるキャラ。
ただ、拉致中にレイプされて妊娠した子供を産む決心をするという結末はいただけない。
捜査官として銃撃戦で自分をレイプした男たちを射殺した瑛子は子供を産むことについて、
「2人の生命を奪った贖罪かもしれないし、
自分の中に芽生えた生命を殺したくないという母性本能かもしれない」と語る。
映画でも小説でも似たような展開を目にすることがあるが、
この手の「オチ」には同性として強烈に違和感、不快感を感じる。
('04 10 15)
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by gloriaxx | 2004-10-21 01:10 | ★4


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