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カテゴリ:★4( 87 )

ほんとに「いい」と思ってる? 姫野カオルコ 角川文庫 ★★★★

著者がいろんな雑誌に書いたエッセイ('91年~'02年)を編纂して新たに書き直したもの。
世間では無条件に「いい」と評価されているもの(主に映画)に対して
「ほんとうにいいと思ってる?」と問いかけ、その価値観に挑戦状を叩きつける。
非難轟々は覚悟であえてばっさり切り捨てる大胆さは毎回痛快だ。
特に拍手喝采だと思ったのは「ピアノ・レッスン」「レオン」「グラン・ブルー」についての項。
実は私も周囲の女性たちが口を揃えて「ピアノ・レッスン」をほめるので、うんざりしていたのだ。
(この感覚は「E.T」以来)
「ピアノ・レッスン」のラヴシーンについて誰かが「今までで最高にエロティック」と言った時には
「え~っ!この人、ほんとにエロティックなセックスしたことあるの?」と思ったほど・・・
「プリティ・ウーマン」の解釈も新鮮で目からウロコが落ちた。

~たんなるムードつくりで”難しそうに”作った映画が嫌いなんである。
もっと正確に言うと「そういう映画を己が知的人種であることの宣伝みたいに鵜呑みに褒める人々」
が嫌いなんである~
この一文は最高!
by gloriaxx | 2004-10-11 23:52 | ★4

群青の夜の羽毛布 山本文緒 幻冬舎 ★★★★

ものすごく怖ろしい話である。そしてミステリー的要素が濃く一気に読める。
作中、主役の一人である大学4年生の鉄男がアメリカ映画「危険な情事」を思い出し、
自らの体験を振り返ってぞっとするという件があるが、
もし彼が危機一髪で災難を逃れてなかったら「危険な情事」なんかとは比較にならない悲劇だ。
日本人特有の、血縁や家族という選択の余地のない関係によって生じる相互閉塞感や
圧迫感がひしひしと迫ってくるからだろうか。
この著者がストーリーテラーとしてもかなり優れていることを再確認した作品。
確か本庄まなみ主演で映画化されるようだが、納得のキャスティングだと思う。
主人公・さとるは自分とはこれっぽっちも共通点のない女性なので、
最初は突き放した視線でイライラしながら読んでいたが、彼女が子供時代のことを
回想しはじめると、自分にも彼女に似た要素があったことに気づいた。
元気で活発な女の子たちが苦手で、ただその場を楽しく切り抜けるためだけに
他人と適当にどうでもいい話をするのが苦痛で・・・などなど。
私は自分が生きやすいよう、テクニックとしてさとるに似た部分を殺して
世の中に上手に適応してきたけれど、さとるはそれができないまま大人になってしまったのだ。
by gloriaxx | 2004-10-11 23:46 | ★4

ダーク 桐野夏生 講談社 ★★★★

村野ミロシリーズ最新作で500ページ強の長編。
最初はミロのあまりの非情ぶりに「こんなに情け容赦ない女だっけ?」と戸惑い、
違和感を感じるけれど、逃亡生活に入る中盤くらいから「やっぱり桐野夏生はすごい!」
とただため息。特に韓国に渡ってからの章がおもしろく、ラストまで一気に読んでしまった。
ミロの義父・村野善三と暮らす盲目の女・久恵のキャラクターが強烈すぎ!
ヤクザの鄭や韓国人・徐 鎮浩もリアルだ。
本書を読む少し前、私は精神的にダウンしていて、落ち込んだ時の常として
「どこか知らない町でひっそり暮らそう」的な思考にハマっていたので
ミロが博多、韓国釜山、ソウル、大阪、東京と流れていくあたりの描写に共感を覚え、
「人間ってどこでどんな状況になっても生きていけるもんだな~」と開き直る反面、
「やっぱり私にはこんな生活絶対無理だな」と痛感した。
エンターテイメントとしては上出来で読み応えがあったけど、
個人的に私の倫理観や生理にフィットしない部分が多かったので★4つ。
でも(たぶん発表されるだろう)続編が早く読みたい。
by gloriaxx | 2004-10-11 23:44 | ★4

紙婚式 山本文緒 徳間書店 ★★★★

夫婦や結婚生活を描いたブラックな味わいのある8つの短編集。
どの話もキャラクターや設定などまったく違うタイプだが、不思議にリアリティがあり、
ドキッとするほど思い当たる一節があったりする。
結婚しているひとなら、どこかに自分自身やパートナーに似た部分を見つけたり、
自分たちの結婚生活に重ね合わせる部分があるのでは。
by gloriaxx | 2004-10-11 23:31 | ★4

ドラゴンフライ 室井佑月 集英社 ★★★★

地方出身のOLが失恋をきっかけに銀座のホステスになり、
嫉妬やいじめ、陰謀が渦巻く世界で次第にのしあがっていく。
私はジャンルや男女を問わず「成り上がり物語」が好きなので、とてもおもしろく読めた。
著者は元・銀座のホステスなので体験や実話も入っているのだろう。
同じ「銀座モノ」でも山口洋子や半村良の作品に比べ、
主人公に人間味があって比較的共感しやすいのは、
著者の分身ともいえる主人公が素直で正直な女性だからか。
それにしても水商売の世界って恐ろしい・・・こんな世界で生き延びてる人ってつくづく尊敬する。
ジャン・レノ似の黒服が非情で魅力的で存在感のあるキャラクターとして描かれているのに、
ラストだけは納得いかないしがっかり。
by gloriaxx | 2004-10-11 23:30 | ★4

高知の自主上映から 「映画と話す」回路を求めて 山本嘉博 フィルムアート社 ★★★★

HPのリンクフレンド(間借り人の映画日http://www4.inforyoma.or.jp/~mai7665/)の著書。
高知県在住の著者は「高知映画鑑賞会運営委員」として長く自主上映や映画関連の
イベントに携わってきた人。
HPでの映画評を拝読した印象から、もっと難解な本かとやや腰が引けていたのだが、
読み始めてみると、映画そのものの誕生から楽しみ方、映画を構成する要素、
興行システムなどについて私のような「単なる映画好き」にもわかりやすく書かれている。
映画をスクリーンで観ることとブラウン管で観ることの違いをオリジナルの絵画と画集の絵
にたとえた項や、映画の三大要素「ホン、ツラ、ヌケ」(脚本、俳優、映像)について解説した
項は私にとっては今までなんとなくぼんやりとわかっていながら、明確な言葉で
読んだり理解したことがなかったので「そうだったのか!」と目の前が晴れた思いだった。
私は幼い頃から本の虫で(しかもほとんど小説)物書きだからか、
映画もついつい「物語」に比重を置いて観てしまうのだが、本書を読んで映画というのは
多面的な角度から鑑賞し、楽しむことができるものだということを再確認した。
確かにストーリー的に破綻していて大した役者が出ていないのに、
映像や音楽、編集の仕方などが優れていてよい作品というのも多い。
第二部のシネマノートで取り上げられている作品群が、私が未見のもの、興味のないもの、
観たけれどあまり好きではない作品が多かったのがやや残念・・・
二十代の頃はいわゆるミニシアター系の作品ばかり片っ端から観ていた私だが、
ある時期からなんだかそれらが鼻につくようになり(すべてがそうじゃないけれど)
ここ何年かはすっかりメジャー系作品のシンプルな魅力に浸りきっているのだ。
相互関係があるのかどうかわからないけど、運動することを生活の一部にしてから徐々に
その傾向が強まってきたような気がする・・・・
by gloriaxx | 2004-10-11 23:21 | ★4

カプチーノをふたつ デヴィッド・アップダイク/山際淳司 集英社 ★★★★

翻訳の文体がすごくいいな~と思って確かめたらやっぱり山際淳司氏だった。
ピューリッツァー賞を二度も受賞した父、ジョンの小説は知っていながら読んだことがない。
息子は「90年代のサリンジャー」と評されている。
(ピーター・キャメロンと同じく山際氏が翻訳し、
作家の存在を日本に紹介したからだろうけど、安易すぎやしないか?)
作者の私小説といってもいい短編集で、赤ん坊時代から幼児期、青春期までの
様々な時代の断片を美しいストーリーにまとめている。
「子供の世界は狭い。子供たちの生活は大人の及ばない不文律で動いており、
いったん友達になってしまえばそこから逃げ出すことはできない」と書かれた
「音と影」という短編に代表されるように、子供というのは大人が思う以上に
自分を取り巻く世界に対して悲観的で、周囲の状況や大人の事情を鋭く観察していて、
子供のくせして人生に疲れていたりする。
まさしくそんな子供だった私は特殊なのかと思っていたが
この著者も私と同じタイプの子供だったようだ。
by gloriaxx | 2004-10-11 23:18 | ★4

作家の花道 室井佑月 集英社 ★★★★

作品は読んだことないが著者の存在は知っていた。
なんとなく、もっと尖ってかっこつけた女性という印象を抱き、
苦手なタイプだと思っていたのだが、本書を読んで好感を持った。
恐ろしいほど正直で純粋な人だ。
自分と似ている部分も多々発見。小説も読んでみようと思った。
無名の作家志望の女性が仕事も人生もステップアップしていき、環境が激変して
いくプロセスが、雑誌連載のエッセイを通して如実に伝わってくる。
林真理子の「ルンルンを買っておうちに帰ろう」に通じる勢いと魅力を感じる。
by gloriaxx | 2004-10-11 23:13 | ★4

不夜城 /馳 星周 角川書店 ★★★★

映画を観たので原作も読んだと思い込んでいたが、
原作を読むと映画は大甘の作りだな~と思う。
街の風俗や人物描写にリアリティがあり、下手をすれば陳腐に感じる設定や
クサいセリフになってもおかしくない話なのにまったくそんなことはない。
クライム・ノベルとしても恋愛小説としても上出来である。
女性が読む場合、主人公の健一がかっこよすぎると興ざめだし、
夏美が嫌悪感しか感じさえない女だと感情移入できないと思うが、
主役2人のキャラクター設定のバランス感覚が絶妙だと思う。
こういう「出会ってしまったから行くところまで行くしかない」系の恋愛話って好きだ。
by gloriaxx | 2004-10-11 23:11 | ★4

ブラックティー 山本文緒 角川書店 ★★★★

この人の小説の主人公は異性や社会だけでなく自分に向ける視線もシニカルだ。
この短編集に収録された「ブラック・ティー」や「水商売」の主人公のような
生き方をしている人は実在するだろうなと思わせるリアリティがある。
やるせなくて救いのないような話だけれど、一種突き放したような、
開き直ったスタンスに救われる。
人間、どうなっても生きていく強さを持ってるもんだなと思って、
落ち込んでいる時に読むとふっきれるかも・・・
by gloriaxx | 2004-10-11 23:10 | ★4